春や秋のお彼岸には、お寺にお供えやお布施としてお菓子を持参したり、お供え物を持ってお宅を訪問したりする機会がありますよね。
持参するお菓子やお茶菓子には「のし」をかけますが、正しいのしの種類や表書きは知っていますか?
お供えの品物と金額の目安と、のしの種類と表書きについてまとめました。
お彼岸の「のし」の書き方・種類・かけ方
まず「のし」についてですが、慶事などの祝い事には「のし(熨斗)」がついているのし紙を使用します。
「のし(熨斗)」とはご祝儀袋などの右上についている、紅白の紙に包まれた黄色い細長いものを描いたあの意匠です。
「のし紙」は水引(中央の帯紐)が蝶結びタイプで、華やかな色使いに「お祝い」と表書きされているようなものです。
対してお彼岸、弔事などのお悔やみごとでは「のし(熨斗)」の描かれていない、水引が結び切りのものを使用します。
これは正式には「のし(紙)」ではなく「掛け紙(かけがみ)」と言います。
なお結び切りの意味は、「簡単にほどけない=悲しみを繰り返さない」、「二度とあってはいけない、一度だけでいいこと」という意味が込められています。
水引の色などは地域により異なり、関東は黒白、関西は黄白となるようです。
掛け紙については、お店でお供えのお菓子を購入する際に「のしはどうなさいますか?」と聞かれると思いますので、その際にお彼岸のお供え物である旨をお伝えすれば、適切な紙を選んでくれるでしょう。
先方の家のしきたり・地域によって異なるため、気になる場合は事前に知人・親戚などに確認されるのもおすすめです。
「掛け紙」に書かれているものは大まかに三つです。
・表書き(水引の上中央に書かれている文字)
・水引
・名入れ(水引の下中央)
「表書き」について説明します。
掛け紙の上部の表書きは中身を表すために記します。
お葬式の時には薄墨で書くものですが、お彼岸の時は黒墨で問題ありません。
お彼岸の場合は、「御供」「お供物」などと書きます。
また、表書きに書く言葉は目的によって異なります。
お寺のご住職にお礼の品を渡すときは、無地の白い紙か水引が紅白の蝶結び紙を選びます。
表書きに「粗品」または「上」と書きます。
水引の下段に差出人の名前をフルネームで書きます。
上段の表書きに対して、下段の氏名は小さめに書くのが望ましいです。
お布施(現金)と一緒に渡すのであれば、掛紙(かけがみ)は必要ありません。
慣習によって紅白の蝶結びを使わない地域やお寺もあるので、迷った場合は白い紙を使います。
親戚や知人にお供え物として渡す場合は、結び切りの掛け紙を使用します。
結び切りの水引の色は黒白・または双銀、地域によっては黄白となります。
表書きは「御供」、忌明け前(四十九日の期間内)であれば「御霊前」、忌明け後(四十九日の法要後)であれば「御仏前」です。
上段の表書きに対して、下段の氏名は小さめに書くのが望ましいです。
お供えの品物の種類と相場
お供えの場合、特に決まった品物があるわけではありません。
一般的に、品物の場合は3,000円前後の予算が相場と言われています。
・お線香
・ろうそく
・お菓子やお茶菓子
・季節の果物
・生花、フラワーアレンジメント
・缶詰
・おそうめん
・酒類
・故人が好きだった嗜好品
・ご先祖様が喜んでくれそうなもの
などをお送りすることが多いようです。
お線香やろうそくは色柄や香りのバリエーションも増え、贈答用とされる方も多くなっています。
お彼岸の前後に親族が集まる場で分け合う場合もありますので、お菓子の場合は日持ちして小分けにしやすいものが喜ばれます。
生花やフラワーアレンジメントの場合は、白や淡い色を基調とした色合いでまとめたものを贈りましょう。
ぱっと楽しむようなイベントではありませんが、お彼岸も家族の大事な行事のひとつではあります。
気の利いたお供えで喜ばれるといいですね。